2017年05月27日

思い出と現在の交わるところ

産まれて10日目に高熱を出してから、知的障害者として生きる弟さん(60代、現在施設に入所)と亡くなった両親を1枚の絵にして欲しい、
3才違いのお姉さんからの依頼で、弟さんの入所する施設に取材に行き、弟さんの取材、亡くなられたご両親のお話をお聞きして、3人を1枚の絵に描かせていただきました。



物心ついた時から、ずっと弟さんをお母さんと2人で看てきたお姉さん、子どもたちには引き継がせずに自分の代で何とかしたい、両親のオモイも含めて何か形に遺したいとのオモイからの依頼でした。
亡くなられたご両親の生きてきた歩み、娘さんの目から見た姿をお聞きして描かせていただきました。

北海道で産まれ、給料の安い蟹工場を飛び出し、大阪の大きな飲食店で働きながら勉強、最終的に経理の職に、過保護すぎるほど家族に対してのオモイが強かった父親。

秋田のお寺の6人兄弟の4番目に産まれ、戦時中、お寺の子どもということで免れた学徒動員が不服で、自らの指を切り血判状を書いて働きに出た気丈な母親、息子が産まれてから自分が痴呆になるまでずっと付き添い、気にかけ続けた母親。

障害を持った弟さんのおかげでいろんな方と知り合え、いろんな経験が出来て感謝している、
1歳児の知能で止まっているという弟さんの澄んだ目がとても印象的でした。

亡くなられたご両親は、生前の写真を何枚かお借りして、3人が自然な感じで寄り添っている姿を思いながら描きました。



依頼者の方にとても喜んでいただき
有り難いなと思いました。
  


Posted by 小林憲明 at 13:29制作日記